2013年4月29日月曜日

D&D4thは破壊的イノベーション

既視感を覚えたら、実は以前似た様なことを書いていたのだった…。

TRPGのイノベーションのジレンマ - 日記兼日々のボヤキ

  • 優良企業は顧客のニーズに応えて従来製品の改良を進め、ニーズのないアイデアについては切り捨てる。イノベーションには従来製品の改良を進める持続的イノベーションと、従来製品の価値を破壊するかもしれない全く新しい価値を生み出す破壊的イノベーションがあるが、優良企業は持続的イノベーションのプロセスで自社の事業を成り立たせており、破壊的イノベーションを軽視する。
  • 優良企業の持続的イノベーションの成果はある段階で顧客のニーズを超えてしまい、顧客はそれ以降においてそうした成果以外の側面に目を向け始め、破壊的イノベーションの存在感が無視できない力を持つようになる。
  • 他社の破壊的イノベーションの価値が市場で広く認められた結果、優良企業の提供してきた従来製品の価値は毀損してしまい、優良企業は自社の地位を失ってしまう。
    イノベーションのジレンマ - Wikipedia

破壊的イノベーションでよく題材に使われるのは、Wii・ニンテンドーDSと、PS3・PSPだろう。単純にスペックを見れば、PS3・PSPの方がWii・ニンテイドーDSよりも高い(所謂持続的イノベーション)が、電源ゲームをする顧客に新たな価値を提供したWii・ニンテンドーDSは今までゲームをしなかった人にまで影響を与え、ユーザの母数を拡大し、完全に駆逐するまではいかないものの、スペックの劣る前者が売り上げでは圧倒的に高いものになっている。

D&D4thはD&D3.5eやPathfinderに比べて、

  • 武器のダメージが重要になった(D&D3.5eやPathfinderは固定値>武器ダメージの関係だった)
  • キャラメイクが短時間になった(D&D3.5eやPathfinderは高レベルになると呪文や道具を選ぶだけでも何時間もかかった)
  • 役割が明確になった(D&D3.5eやPathfinderは同じクラスでも全く異なる立ち位置にできるので、説明しないといけなかった)
  • 回復役がかなり一般化した(D&D3.5eやPathfinderは信仰系以外では回復できなかった) といった新たな価値を提供している。

ではなぜ、破壊的イノベーションを起こしたD&D4thが持続的イノベーションをしたPathfinderに本国では売り上げでアレなのか?というと、その答えは 【4e】タルい戦闘を回避せよ!にある様に、

期待していたほど時間の短縮もルールの簡便化も果たされていない印象を受けてしまう。

ということだと思う。

D&D4thは面白くないと言われました - alternative dvamp's territoryで初心者の人から『面白くない』と言われている様に、現状では“持続的イノベーションの成果”>>“破壊的イノベーションの存在感”のためにWii・ニンテンドーDSと、PS3・PSPと異なる様相を呈しているのだろう。

2013年4月28日日曜日

TRPG DAC愛知2013参加者募集中

DAC愛知2013が開催!

■開催情報
日時:2013年07月20日(土)、07月21日(日)
会場:大府市勤労文化会館 2階-研修室
名古屋駅よりJR東海道本線「共和駅」-JR東海道本線 「共和駅」より徒歩15分
地図その1(名古屋駅-共和駅):http://goo.gl/maps/HQxCB
地図その2(共和駅-会場):http://goo.gl/maps/2njpp

【参加費用】
プレイヤー参加費:一般1日400円/両日600円
※学生(要証明提示)及び女性は半額。
懇親会、宿泊費及び施設等詳細は後日記載。

1日参加で400円は安いんじゃないかな?

現在、フライヤー(所謂チラシ)の配布協力者ゲームマスターを募集しているとのこと。

DAC愛知は『D20 Around Convention in Aichi』の略みたいなんで、D&D以外のd20(Pathfinderとかd20モダンとかd20ワースブレイドとかd20メタルヘッド)とかでも大丈夫だ!

ゲームマスターとフライヤーの応募締切はは5/4までなんで、日程空いている人はGW前に応募するっきゃない!

位坂さんは知り合いなんで、自分は位坂さんに発送のお手数おかけするのもあれなんで、勝手にフライヤーをネットプリントで印刷して配布してみたYo!

2013年4月25日木曜日

TRPG あの伝説の全滅ゲーが装いも新たに登場!?

ルールブック付属シナリオをクイックスタート(今手元にないので、サンプルキャラクターという呼称かも?)で遊ぶとザコ敵にダメージを与えられず、全滅するゲームである、ドラゴンアームズ バハムートハウリングが装いも新たにドラゴンアームズ改 バハムートライジングとして帰ってきました。

テーマが月より舞い降りた機械知性体MISTに侵略され、人類は滅亡の危機に瀕しているという『絶対絶命』のものだったので、「そうか、久保田悠羅さんはよく分かってらっしゃる。『付属シナリオがクイックスタートでクリアできると思った? 残念! 全滅でした!』ってことですね、分かります」と当時の私は思ったものです、はい。

これ以外にも、攻撃に加えて、回避するにもAPと呼ばれる行動力を消費する設計上、避けずに敵の攻撃は耐えて攻撃に徹した方が有利というシステムになっており、重装甲型フレーム一強という状況でした。

『TRPGを触ったこともない人にテストプレイをしてもらって、遊べることを確認してから世に出しています(キリッ)(意訳)』といったこともFEARの人が言っていたりもしていたので、私の中では非常に感慨深い作品です。

ただ、多くの設定が既存作品の二番煎じではあるものの、それなりにツボは抑えてあって、好きではあったんですが(ガンダムやアーマードコアとかのロボットモノ好き)、いかんせんシステムがクソ過ぎたというのが…。

驚いたのはそんなクソシステムを世に出しておいて、それの版上げができるという状況でしょうか。どんなことがあったのでしょう!? 一回コンベか何かで遊んでみたいと思います、はい。

2013年4月23日火曜日

TRPG すべてのマスターは見ておくと良い動画

10:19から11:00まで、特に10:35からの脳内律っちゃんのアドバイスは秀逸。以下引用。

「ねぇ、春香、PLが上手い作戦を考えたり、チャンスを活かしたり、また或いは単なるダイス運で、強敵と思って出したモンスターがあっさりやられたりすることがあるだろうけど……。
 DMには戦闘を盛り上げるために数値をごまかす権限があるんだけど、そんな時にその権限を使うのは慎重になった方がいいわ。
 上手い作戦を立てても、ダイス目が良くても、結局はいつもと同じような殴り合いをしないと敵が倒せないなら、プレイヤーはその次も作戦を考えたりするかしら?」

ムリに戦闘させて、PCを死亡させ、8000ガメルの男を作ったり、PLから自分が想定していない作戦を提示されPL側が不利になる様に裁定するなど、よくよく見られる光景だけど、それってどうなの?って奴。

すべてのマスターは一度この動画見ておくと良いと思う。

2013年4月21日日曜日

PathfinderRPG 新Adventure Path 『Reign of Winter』をざっくり紹介

舞台はイリセン。
100年に一度、魔女王バーバ・ヤーガがゴラリオンに戻り、自らの子孫を次の王位に就ける。
今年はその王位交代の年であった。

追加クリーチャーは、北極グマ、巨大イタチ(見た目可愛いけど、子鹿を殺していたり…)、樹の精、家の精ドモヴォイ、魔女烏など。

氷雪の国イリセンの首都ホワイトスローンが舞台。
反抗の女神ミラニや、ウインターウルフの生態が掲載。
特にホワイトスローンに棲むウインターウルフは人型形態に変身する能力があるというトンでも設定が普通に追加されているので、ウインターウルフに萌える人は要チェック(掲載されているキャラクターは眉目麗しい女性ですよ?)

追加クリーチャーは、顔が鏡になっているミラーマンとレッド・キャップなど。

PathfinderRPG The Price of Immortality シリーズ紹介

以前PathfinderRPG公式シナリオの紹介ページについて - alternative dvamp's territoryこちらで書いた通り、位坂さんがprdjにPathfinderRPG公式シナリオの紹介ページを作ってくれていました。

位坂さんの Adventure Path の Carrion Crown についてのレビューが終わったみたいなので、私の方で The Price of Immortality シリーズの Crypt of the Everflame, Masks of the Living God, City of Golden Death について紹介しておきました。公式シナリオに興味がある方は参考にしてみてください。

Pathfinder公式シナリオ日本語レビュー用掲示板

2013年4月17日水曜日

D&D4thは面白くないと言われました

さて、先日D&D4thを遊んだ際にタイトルのことを言われたんですが、彼の方の言い分は(タイトルからは分からないでしょうが)筋の通った話でした。あっちなみに自分とタイトルの発言された方はプレイヤー参加です。

漫画やアニメでは、敵の攻撃を回避するシーンは好まれる傾向にあると思います。当たらなければどうということはない!とか皆さん好きでしょう。

当たらなければどうということはない!

しかし一転、TRPGとなると、攻撃が命中しないことは忌避されます。コンシューマのゲームでは試行回数がダンチなのでこの傾向がそこまで顕著ではないのですが、TRPGでも「攻撃が当たらない」ことは良くないとする考え方がかなり支配的です。

感情面として当たらないと爽快感や手応えがないので不満ということもありますが、それ以外にも結果の不確実性ということに対して戦術性と相性が悪いということもあると思います。

ドラクエ等のコンシューマでは攻撃の命中率はほぼ100%(極稀にミスをする程度)で、ファイアーエムブレムで90%程度ですが、大抵の人は外れる印象を抱く程です。極々稀にシャイニング・ティアーズという命中率と回避率至上主義のゲームがありますが、あれをしたことがある人はご存知の通り、命中率を上げる為に器用特化するゲームなので、割愛します。一部の例外を除いて基本の命中率は95%位ということが分かると思います。

一方、TRPGではソードワールド2.0(以下SW2.0)の命中率はだいたい60〜80%(2d6で7以上〜5以上)であることが多く、特にボス相手だと40%(2d6で8以上)となることもあります。SW2.0の場合、命中率は容易に上げるサポート手段(【ファナティシズム】や【パラライズミスト】)があり、ボス相手でも60%程度に落ち着きます。ただ、この命中率はコンシューマで例に出した通り、“外れすぎる”と感じる参加者が多いものです。

同じTRPGでもアリアンロッド2Eの命中率の基本はこれよりもだいぶ高く、フェイトも考慮に入れれば90%前後になります。ただこれもファイアーエムブレムと同じ程度=外れる印象を抱く人が多いとも言えます。

他にも最近のメジャーなTRPGは命中率が80〜90%程度ありますが、一昔前のTRPGは命中率がかなり低い傾向があります。真・女神転生TRPG覚醒編、ロードス島(クリスタニア)コンパニオンも同じです。

さて、ここまで前置きしてなんですが、D&Dも一昔前のTRPG同様に命中率は低い傾向があります。ただ、D&D3e系(PFも含む)では、容易に命中率を高める手段がありました(と言っても95%まで滅多にいきませんが)。しかし、最新作のD&D4thはそうではないんですな…。D&D3e系と違って容易に命中率を上げる手段は奪われ、唯一頻繁に使えるのは挟撃くらいです。

で、命中率が低い=攻撃が当たらないことの何が問題かというとイメージそのものではなく、攻撃が当たらないことがゲーム的に面白い仕組み(システム)になっていないということです。

大抵のゲームでは攻撃が当たらなくてもその攻撃に費やしたリソースは消費します。これが繰り返し使えるリソースであればまだましですが、1日1回とか1日3回とか1遭遇1回といった様にリソースが制限されていると、不満だけが蓄積される仕組みになります。この辺り、システムデザイナーも分かっている様で、D&D3.5eまでの悪を討つ一撃は外しても回数を消費していましたが、Pathfinderでは1回限定の命中率とダメージアップではなく、宣言後、対象を倒す(または日が変わる)まで継続する効果に変わっています。逆に分かっていないデザイナーは1日1回とか1遭遇1回といった回数制限のものを追加したりしています。これがD&D4thですね。[信頼性]があるじゃないか!と仰る方がいるかもしれませんが、それは殆どのパワーに当てはまらないので除外しますよ。

タイトルの発言された方も変な戦術で戦ったわけではなく、【4e】タルい戦闘を回避せよ!に書いてあるD&D4thの戦術を取っていました。ただダイス目が少しばかり悪かっただけです。

例えば、相手の回避力以上の命中力を持ったカード(N◎VAの様にトランプでも可)を出せば命中するといった能動側に有利なシステムであれば、同じ命中率だとしても、“攻撃が当たり難い”といった不満を持つプレイヤーの割合は格段に減るのではないかなぁ?と思います。また、アリアンロッド2Eの様な既存のシステムでも、【フェイト】の使用判断が敵の回避判定の後になれば1、これだけでも印象は大きく変わると思います。既存システムでもこちら第三艦橋の GUNDAM SENTINEL RPG OEでは逆に、回避判定の出目の見た後に、精神力というシナリオ中に原則回復しないリソースを使って、回避判定にプラス修正を得るものもあります。この場合はより、同じ命中率でもより回避されてしまう印象をプレイヤーは受けると思います。

といった様に、攻撃が当たらないことの不満はほぼ全てのTRPGシステムで存在する問題点ですが、D&D4thはその中でも飛び抜けて、不満が蓄積され易いシステムになっているからなんだろうなぁ〜と今回感じました。


  1. 今は命中判定が先で、フェイトによる振り直しをした後に、敵の回避判定が発生します。