2011年10月25日火曜日

初期レベルは危険で危ない?

前回はPathfinderRPGの初期レベルが致死率が高いことを説明した。

では殆どのシステムでPathfinderRPG同様に初期レベルが致死率の高いものなのかどうか今回説明しよう。

アリアンロッド(無印、1st)の場合

手元にはアリアンロッド2ndがないので、アリアンロッド(無印、1st)をひとつ目の例にする。

クイックスタートのうち、一般的な戦士の例としてよく使われるのは未来の大英雄(hp34)なのでこのキャラクターを元に比較してみる。

ルールブック掲載の敵ボスの攻撃は5d6の魔法ダメージであり、1/36でクリティカルし、その際、7d6までダメージは上昇する。クリティカルしなければ、期待値17.5であり、ここから魔法防御分ダメージが減少するので、差し引き14.5点で2回食らってもまだ倒れない。事故(=クリット)って21.5点でこれまた一撃死(戦闘不能)にはならず、戦闘不能になるのは事故(=クリット)った後、7d6で37点=1d6の平均値が5.3を出す必要がある。

つまり、あまり死に易く(*1)は作られていないということである。

ソード・ワールド2.0の場合

クイックスタートのうち、一般的な戦士の例としてよく使われるのは人間の戦士(hp24)なのでこのキャラクターを元に比較してみる。

ルールブック掲載の敵ボスの攻撃は2d6+4。直前の中ボスが2d6+5であり、期待値はそれぞれ11と12点となる。ここから防護点分ダメージが減少するので、差し引き7と8点で4回食らってもまだ倒れない。事故(=最大ダメージ *2)でも10と11点でこれまた一撃死(気絶)にはならない。

つまり、こちらも同様にあまり死に易くは作られていないということである。

アルシャードガイアの場合

クイックスタートのうち、一般的な戦士の例は普通魔剣使いな気がするが…よくPC1に指定されるのは英雄候補生(hp21)なのでこのキャラクターを元に比較してみる。

ルールブック掲載の敵ボスの攻撃は4d6+10の〈斬〉ダメージか、9d6の〈闇〉ダメージであり、期待値はそれぞれ24点の〈斬〉と31.5点の〈闇〉となる。ここから〈斬〉の防御修正分ダメージが減少するので、差し引き21点と31.5点でどちらを食らっても一撃死になる。

が、アルシャードガイア(以下ALG)はまずブレイクというhpが0以下になっても、1シーン中に1回は死亡しないですむことが出来る状態がある。さらにこのブレイク状態で上記の攻撃を食らっても、加護と呼ばれるもので死亡を帳消しにしたり、ダメージを0にしたりと色々と出来る様になっている。ちなみに英雄候補生は自分ひとりだけで、ブレイク、加護《ヘイムダル》、加護《ガイア》で最大3回攻撃を無効化することが出来るので、出るダメージの割りに一撃死し難い。

つまり、こちらも同様にあまり死に易く(*3)は作られていないということである。

まとめ

PathfinderRPGと一部とはいえ、国産の他システムを比較してみた。これだけ見ると、PathfinderRPGがただの死に易いシステムにしか見えないかもしれないが、どういった方向性のゲーム(バランス)なのかについては次回説明する。

*1 アリアンロッドでは[戦闘不能]状態は戦闘終了後かそれを解除するスキルを使う必要があり、初期レベルで解除するスキルを持っていることは稀なので、死亡と同義とする。
*2 ソード・ワールド2.0では敵の攻撃はクリティカル・ヒットしない為。
*3 死ぬ=自分のキャラクターが出来る行動が何もない状態も含めることとする。

2 件のコメント:

  1. PFを遊んでいる者ですが、大変興味深い記事でした。
    仲間内でも国産TRPGとの比較はよく話に挙がりまして、とかくPF(やD&D)はPCが死亡しやすい点が注目されます。
    PFは国産TRPGのように(コアルールでは)防具によるダメージ減少のルールが存在するわけではなく、ACを抜かれたらそのままダメージが通るため、非常に大味だなぁと感じています。
    そこが面白いところでもあると思いますが、不満に感じるプレイヤーも多いようです。

    PFがどのような主旨に基づいてデザインされているのかをもう少し理解できれば、そういった不満を緩和する手だてになるのではないかと思いますので、次回説明を予定されている「PFがどういった方向性のゲーム(バランス)なのか」についての記事を大変楽しみにしています。

    返信削除
  2. コメントありがとうございます。
    ちょっとうまく時間が取れてないので、論考系の投稿出来ておらず、申し訳ございません。
    もうしばらくお待ちいただけると助かります。

    返信削除